INTERVIEW インタビュー

 

――小松さんが演じられている潮留美海はどんな女の子ですか?

最初……特に第3話目あたりまでは、同年代の女の子に比べて表に感情を出すことも少なく、達観している子でした。篠原監督や明田川音響監督からは、(久沼)さゆがミニヤンキーだとしたら、美海はさゆに何かをやらせる先輩のようなイメージと言われていました(笑)。でも、あかりさんとのエピソードが進むにつれて年相応の対応をするようになり、ずいぶん自分の感情を封じ込めて無理していたのかなと。大人びたところもありつつ、実は等身大の女の子だと思います。

――小松さんの子供時代と似ているところはありましたか?

私は兄と弟に挟まれているので、どちらかと言えばさゆタイプ。そのため性格は正反対なんですけど……共感できたところは美海が光に惹かれたように、私も美海くらいの年に初恋を経験したんです。相手は私の言うことをずっと真似していたり、何かとちょっかいを出してくる男の子で、いつの間にか気になる存在になっていました。ただ光には似てなかったですけど(笑)。

――可愛らしい恋ですね。では、これまでオンエアされたなかで、印象に残っているシーンはどこでしょうか?

“あかちゃん”のためにプレゼントを探し歩いた美海が、自分の「好き」をあげるのが一番いいのだと気づいた第8話ですね。美海にとっては誰かのために必死になること自体初めての体験だったと思います。それに自分の気持ちに素直になれて、やっとみんなの輪の中に入れた気がしました。自分のお母さんを思い出したのか、みんなのエナが乾いてしまわないかと密かに心配する美海も可愛いなって。それは母親が海村(汐鹿生)出身だったからこその気遣いですし、海と陸の人との子供だという美海らしいエピソードだなと思いました。

――美海以外で、小松さんが惹かれるキャラクターは誰でしょうか。

友達としてなら、やっぱりさゆですね。美海に対しても要に対しても、さゆの想いはブレない。そこが好きです。さゆと美海も、まったく違う性格だからこそお互いに惹かれたと思うんです。あの二人は本当にいいコンビですよね。

――男性キャラクターだと?

『凪のあすからじお』でもすごく悩んだんですけど……光ですね、やっぱり。ストレートにモノを伝えるっていちばんエネルギーがいると思うんです。自分にはない飛び抜けた行動力、その純粋な強さに惹かれます。

――ちなみに、さゆ役の石原夏織さんとはアフレコ現場でも席は近いんですか?

はい、隣に座ることが多いですね。そして私たち2人が暴走すると(花澤)香菜ちゃんがツッコミを入れてくれます(笑)。アフレコ現場は、男子も女子も学校にいるみたいで、特に男子は同じクラスだったら絶対に親友同士になっているだろうなって思うくらい仲良しなんですよ。私たちも固まって女子トークしたり、物語が今後どうなるのかと話し合ったり。この作品は本当に先が見えないので、私たちも台本をいただくたびに驚いています。

――海村の人たちが冬眠に入ること、そして冬眠してからの展開をどう思われましたか?

リアルに考えたら、時間が経過すると想いは揺らぐものだと思うんです。でも『凪のあすから』のキャラクターはみんなピュア。その想いの強さ、純粋さに驚きました。時が経って美海も成長しましたが、すごく大人びましたよね。長くなった髪型には、光が好きなまなかのことを、どこか意識しているのかな? とも感じました。

――この物語の主人公たちは中学二年生ですが、小松さんが中二の頃はどんな女の子でした?

ポエムのような日記を書いていました、あとは……十字架のペンダントに惹かれたり、リストバンドしていたら格好いいと思ったり。今思い返すとどうなんだろうって(笑)。あとクラスでも男子と女子の間に派閥が生まれ始めていて、人を好きになったら想いを伝えてカップルができる、ということを知った時期でもありますね。でも、そういう恋心をみんなちゃんとは受け止めきれていなかった。それは『凪のあすから』のキャラクターたちにも通じるところがあるのかなって思います。

――美海は陸で暮していた女の子ですが、小松さんは海と山ならどちらが好きですか?

海派です! 小さい頃に沖縄に行ったのですが、海を見てホッとするような懐かしい気持ちなったんです。きっと自分の先祖は海に住んでいたのだろうな、なんて思っていました。またその時、バスの運転手さんにサンゴのキーホルダーをもらったのですが、それがとても綺麗で。それから私も、美海たちが作った貝殻のペンダントのように、海の小物を買うようになりました。

――海村、汐鹿生はいかがですか?

憧れますね! 私も住みたいです。子供の頃、思い描いていた竜宮城がもし現代にあるとしたら、きっとあんな景色なんだろうなって。それにどこかギリシャっぽくもありますよね。私も学生時代、ギリシャの景色が大好きだったので、理想的な世界だと感じました。

――そんな『凪のあすから』はとてもファンタジックな世界を描いていますが、小松さんがお好きだったファンタジー作品は何ですか?

ファンタジーは大好きなので今でも買って読みますし、昔の本を読み返したりもします。子供時代に読んだものだと、『精霊の守人』がアニメにもなった「守り人シリーズ」(上橋菜穂子)、最近だと長野まゆみさんの『メルカトル』と『カルトローレ』も印象的ですね。「守り人シリーズ」は主人公のバルサの作るご飯が美味しいんですよ! 子供の頃から食べ物の話には目がなくて料理するのも好き。『凪のあすから』も第1話が料理シーンから始まっていてグッときました。あのレシピ、知りたいです!(笑)

――それでは最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。

まさかの展開に驚かれた方もたくさんいらっしゃると思います! 私たちも少し先のことしか知らされていませんが、今まで一方通行だったそれぞれの想いが報われることがあるのか、陸と海の人たちの暮しがどうなっていくのか……最後に向かって、みんなの想いがどう絡み合っていくのかを、ぜひ楽しみにしていただきたいです。また海と陸の幻想的な世界に、いっぱい浸っていただけたら嬉しいですね。